【一般問題】電動機に接続する幹線の電流の最小値

【一般問題】電動機に接続する幹線の電流の最小値

ややこしい計算が必要になる、電動機と電熱器に接続された低圧屋内幹線の太さを決定する、電流の最小値[A]を求める問題。

問われるのは主に3つ

  1. 電動機に接続されたの幹線の太さを決定する電流の最小値[A]
  2. 電動機と電熱器に接続されたの幹線の太さを決定する電流の最小値[A]
  3. 幹線に施設しなければならない過電流遮断機の定格電流を決定する根拠となる電流[A]

設問自体が長くてわかりにくいけど、この電線はこのくらいの電流までMAX耐えられるよ、という意味合いだと考えてもらえるといいかな。

とはいえ、電動機と電熱器の合計の大小、需要率を計算するタイミング、電動機の合計が50A以下とそれ以上など、計算の順番をミスると答えが出なくなる。

この問題は上期下期ともに出題される年もあるから、絶対におろそかにしてはいけない。

ここでは計算手順をしっかりマスターしよう

練習問題①

まずは、基本となる「電動機に接続されたの幹線の太さを決定する電流の最小値[A]」を求める問題を一緒に解いていこう。

定格電流10[A]の電動機5台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する電流の最小値[A]は。ただし、需要率は80[%]とする。

この問題は、まず5台の電動機の定格電流の合計を計算する。

次に実際の需要率を掛け、最後に、幹線の許容電流を求める式にあてはまていく。

ちなみに、電動機の定格電流の合計はImという記号で表すよ。

まず、Imを計算すると、
Im=10×5=50[A]

実際の需要率は80%なので、
50×0.8=40[A]

さぁ、ここで重要になるのが幹線の許容電流を求める式

いわゆる、1.25、もしくは1.1のどちらかを掛ける問題だ。

計算で出た40[A]を以下の式に当てはめていこう。

この場合、Imは50A以下だから、40[A]に1.25を掛ける必要がある。
40×1.25
50[A] これが正解。

掛け算するのが1.25なのか1.1なのかが一番のポイント。

「電動機合計(Im)が50A以下は1.25、それ以外は1.1」と暗記しよう!

電動機合計(Im)が50A以下は1.25、それ以外は1.1を掛ける

練習問題②

続いて、「電動機と電熱器に接続されたの幹線の太さを決定する電流の最小値[A]」「幹線に施設しなければならない過電流遮断機の定格電流を決定する根拠となる電流[A]」を求める問題を解いていこう。

前者は、新たな要素として電熱器が加わるけど、計算の考え方は電動機と同じで、幹線の許容電流を求める式に当てはめれば迷うことなく解けるはず。

後者は応用問題だけど、近年はよく出題されるから、ここでしっかり解き方を身につけていこう。

図のような電熱器H1台と電動機M2台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。
この幹線の太さを決定する根拠となる電流Iw[A]と幹線に施設しなければならない過電流遮断機の定格電流を決定する根拠となる電流IB[A]の組合せとして、適切なものは。
ただし、需要率は100%とする。

(令和3年度上期午前)

幹線の太さを決定する根拠となる電流Iw

まず、電熱器の定格電流の合計はIhという記号で表すよ。

また、需要率は100%なので、さっきみたいにImとIhの合計に0.8を掛ける必要はない。

まずはImとIhを計算する。
Im=20+20=40
Ih=10

ここで幹線の許容電流を求める式の登場だ。

ここでは2つの条件によって計算方法が大きく変わる。

①電動機・電熱器の合計の大小
Im(電動機の合計)とIh(電熱器の合計)を比較。
Imの方が大きければ②へ。
ImがIh以下の場合、つまりIm≦Ihの時はIm+Ihが答えになる。

今回はIm>Ihなので②へ進む

②電動機の合計が50A以下か
ここでは最初の例題と同様、Imが50A以下は1.25、それ以外は1.1をImに掛ける。
計算後のImにIhを加えると答えが出せる。
つまり、
1.25×Im+Ih、または、
1.1×Im+Ih

今回はImが50A以下なので、
Iw=1.25×40+10
60[A]

幹線に施設しなければならない過電流遮断機の定格電流を決定する根拠となる電流IB

続いて、幹線に施設しなければならない過電流遮断機の定格電流を決定する根拠となる電流IB[A]を求めるとしよう。

こちらは3×Im+Ih2.5×Iw を計算する。

3×Im+Ih=3×40+10=130[A]
2.5×Iw=2.5×60=150[A]

そして、これが公式。

この2つを比べて、少ないほうが電流IB[A]になる。

なので、IB=130[A]

演習問題

令和2年度下期 午前

図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし、需要率は100%とする。

イ .95
ロ .103
ハ .115
ニ .255

電動機の合計Imは、
30+30+20=80[A]
電熱器の合計Ihは15[A]

Im>50なので、
80×1.1+15
=103[A]
正解は

平成29年度上期

図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし、需要率は100%とする。

イ .70
ロ .74
ハ .80
ニ .150

電動機の合計Imは、
10+30=40[A]
電熱器の合計Ihは、
15+15=30[A]

Im>Ihで、Im≦50なので、
40×1.25+30
=80[A]
正解は

平成29年度下期

図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[ A ]は。ただし、需要率は100%とする。

イ .45
ロ .50
ハ .55
ニ .60

電動機の合計Imは10[A]
電熱器の合計Ihは、
15+20=35[A]

Im≦Ihなので、
10+35
=45[A]
正解は

平成27年度上期

定格電流12Aの電動機5台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定するための根拠となる電流の最小値〔A〕は。
ただし、需要率は80%とする。
イ .48
ロ .60
ハ .66
ニ .75

電動機の合計Imは、
12×5=60[A]
需要率は80%なので
60×0.8=48[A]

Im≦50なので、
48×1.25
=60[A]
正解は

平成26年度上期

図のように、三相の電動機と電熱器が低圧屋内幹線に接続されている場合、幹線の太さを決める根拠となる電流の最小値[A]は。
ただし、需要率は100[%]とする。

イ .75
ロ .81
ハ .90
ニ .195

電動機の合計Imは、
20+20+20=60[A]
電熱器の合計Ihは15[A]

Im>50なので、
60×1.1+15
=81[A]
正解は

試験対策にオススメの参考書
KOJO

評価: 5.0

基礎から学びたいときは『ぜんぶ絵で見て覚える第2種電気工事士筆記試験すい~っと合格』がおすすめだよ。
また、『すい~っと合格赤のハンディ』は少し分厚いけど、ちょっとした空き時間に勉強をしたいときに役に立つよ。

あと、技能試験を受験するなら、絶対おすすめなのがHOZANのセット。役立つアイテムも充実している。

第二種電気工事士試験筆記試験対策
最新情報をチェックしよう!