今回は断線について解説するよ。
3つのパターンをマスターしよう
【一般問題】断線
今回、攻略するテーマは断線。
電気回路の電線が切れてしまい、本来、意図しなかった電圧が流れてしまうケースの問題を解説していくよ。
出題されるのは、スター結線の三相3線式回路、単相3線式回路、単相3線式回路の開閉器の3つが中心で、ごくたまにデルタ結線の三相3線式回路が出てくる。
とはいえ、答えや解き方はあまり変わらないから、一度覚えてしまえば全然怖くない問題でもあるんだ。
というか、ほとんど答えが決まっているんだ
この問題を繰り返し解いて、得点源にしていこう。
スター結線の三相3線式回路
三相3線式回路は主に電動機などで使用される配電方式で、電圧線を3本接続することでより多くの電力を供給することができるんだ。
その中で、電線がY字に結合しているものをスター結線(Y字結線)と言うよ。
また、電線がY字で結合しているこため、それぞれの相電圧と電流を求めるには、全体の線間電圧を√3で割らなければいけないんだ。
細かいことを考えるとめんどいから、Y字を見たら√3と覚えておこう。
ちなみに、試験では√3=1.73と覚えておけば大丈夫だよ。
ということで、前置きが長くなっちゃったけど練習問題を解いてみよう。

イ . 断線前116、断線後100
ロ . 断線前116、断線後116
ハ . 断線前100、断線後116
ニ . 断線前100、断線後100
まず、この回路全体には200Vの電圧が流れていることを確認しよう。400Vじゃないからね。
そして、断線前は相電圧を求めるために線間電圧を√3で割らなければいけないから、
200÷√3≒116[V]
次に、この回路が断線すると抵抗の2つ付いた交流の単相回路になる。
直列なので、単純に200Vを抵抗の数で割ってみると、
200÷2=100[V]
この2つによって、断線前は116[V]、断線後は100[V]になる
正解はイ
というか、選択肢に116と110を見たら、断線前116、断線後100が正解だと思って間違いない。
単相3線式回路
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

イ . 17
ロ . 33
ハ . 100
ニ . 167
単相3線式回路の問題は、電圧を合成抵抗で割って全体の電流を計算し、問われている線間の抵抗と掛け算することで電圧を求めることができる。
200÷(10+50)×10≒33[V]
これでも求められるけど、もっとシンプルに考えるなら、比率を使って線間の抵抗を全体の抵抗で割った数字を全体の電圧に掛けても計算できる。
10÷(10+50)×200≒33[V]
僕としては後者の解き方がおすすめ。
正解はロ
単相3線式回路の開閉器

イ . 機器Aの内部で断線している。
ロ . a線が断線している。
ハ . 中性線が断線している。
ニ . b線が断線している。
この問題は、ぶっちゃけ暗記問題なんだけど、今回は選択肢のケースを一つずつチェックしていこう。
まず、「機器Aの内部で断線している。」場合、機器Aはダメでもその両端には電流が流れるから、電圧は100Vになる。
「a線が断線している。」場合、機器Aの上側に電気が流れないから、電圧は0V。
「中性線が断線している。」場合、電圧は機器Aと機器Bの抵抗によって決定する。
さっきの単相3線式回路の例題でやったよね。
だから、電圧が150Vになる可能性もあるけど、一旦保留。
「b線が断線している。」場合、機器Aには通常通り電流・電圧が流れるから、電圧は100V。
ということで、イ、ロ、ニは誤りだから、正解はハ。
この200Vの開閉器の断線で、120Vとか150Vを聞かれたら、迷わず「中性線が断線している。」を選択しよう。
演習問題
令和3年度上期 午前
図のような三相3線式200Vの回路で、c-o間の抵抗が断線した。断線前と断線後のa-o間の電圧Vの値[V]の組合せとして、正しいものは。
イ .断線前:116 断線後:116
ロ .断線前:116 断線後:100
ハ .断線前:100 断線後:116
ニ .断線前:100 断線後:100
断線前の相電圧は、
200÷√3≒116[V]
断線後は、直列の単線回路になるから、
200÷2=100[V]
正解はロ
令和3年度上期 午後
図のような単相3線式回路において、消費電力100W、200Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合、a-b間の電圧[V]は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ .67
ロ .100
ハ .133
ニ .150
100÷(100+50)×200
≒133
正解はハ
令和元年度下期 一般問題
図のような単相3線式回路で、消費電力100 W、500 Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合、a – b 間の電圧[ V ]は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ .33
ロ .100
ハ .167
ニ .200
100÷(100+20)×200
≒167
正解はハ
平成31年度上期
図のような単相3線式回路で、開閉器を閉じて機器Aの両端の電圧を測定したところ150Vを示した。この原因として、考えられるものは。
イ .機器Aの内部で断線している。
ロ .a線が断線している。
ハ .b線が断線している。
ニ .中性線が断線している。
「機器Aの内部で断線している。」場合、機器Aはダメでもその両端には電流が流れるから、電圧は100Vになる。
「a線が断線している。」場合、機器Aの上側に電気が流れないから、電圧は0V。
「b線が断線している。」場合、機器Aには通常通り電流・電圧が流れるから、電圧は100V。
「中性線が断線している。」場合、電圧は機器Aと機器Bの抵抗によって決定する。
だから、電圧が150Vになる可能性もある。
ということで、イ、ロ、ハは誤りだから、正解はニ。
平成30年度下期
図のような単相3線式回路で、開閉器を閉じて機器Aの両端の電圧を測定したところ120Vを示した。この原因として、考えられるものは。
イ .a 線が断線している。
ロ .中性線が断線している。
ハ .b 線が断線している。
ニ .機器Aの内部で断線している。
「a線が断線している。」場合、機器Aの上側に電気が流れないから、電圧は0V。
「中性線が断線している。」場合、電圧は機器Aと機器Bの抵抗によって決定する。
だから、電圧が150Vになる可能性もある。
「b線が断線している。」場合、機器Aには通常通り電流・電圧が流れるから、電圧は100V。
「機器Aの内部で断線している。」場合、機器Aはダメでもその両端には電流が流れるから、電圧は100Vになる。
ということで、イ、ハ、ニは誤りだから、正解はロ。
正解はハ
平成29年度上期
図のような三相3線式200Vの回路で、c – o間の抵抗が断線した。断線前と断線後のa – o間の電圧Vの値[ V ]組合せとして、正しいものは。
イ .断線前116、断線後100
ロ .断線前116、断線後116
ハ .断線前100、断線後116
ニ .断線前100、断線後100
断線前の相電圧は、
200÷√3≒116[V]
断線後は、直列の単線回路になるから、
200÷2=100[V]
正解はイ
平成28年度上期
図のような単相3線式回路において、消費電力1000w、200Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合、a-b間の電圧[ V ]は。
ただし、断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。
イ .17
ロ .33
ハ .100
ニ .167
10÷(10+50)×200
≒33
正解はロ
平成27年度上期
図のような電源電圧 E〔V〕の三相3線式回路で、図中の×印点で断線した場合、断線後のa-c間の抵抗 R〔Ω〕に流れる電流 I〔A〕を示す式は。
これはデルタ結線の三相3線式回路なんだけど、電線が1つ断線したことで単線回路になったんだ。
ということは、√3を考える必要が無くなって、電流は普通に電圧÷抵抗の式で計算することができる。
正解はハ