【一般問題】三相3線式回路(スター結線・デルタ結線の電流/線間電圧/全消費電力)を攻略する

KOJO
KOJOだよ。
今回は断線について解説するよ。
3つのパターンをマスターしよう

【一般問題】三相3線式回路

三相3線式回路の電流 or 線間電圧 全消費電力を求める

今回は問5に出題される三相3線式回路の問題攻略していきます。

△の形をしたデルタ結線や、逆Y字型をしたスター結線の図を見て苦手意識を感じる人も多いのではないでしょうか。

しかし、文章問題のような難解さはないため、「スター結線の線管電圧なら√3を掛ける」などそれぞれのパターンさえつかめていれば一瞬で解くことができます。

傾向と対策

まず、基本になる用語を押さえておきましょう。

三相3線式回路では、2本の電線間の電圧のことを線間電圧、2本の電線間の電流のことを線間電流と呼びます。

また、デルタ結線やスター結線の分岐した部分のそれぞれの電圧を相電圧、同様の箇所に流れる電流を相電流と呼びます。

さらに、デルタ結線の場合、相電圧は線間電圧と等しいですが、相電流は線間電流に√3で割った値になります。

一方、スター結線の場合は相電流は線間電流と等しいのに対して、相電圧は線間電圧に√3で割った値になります。

また、出題の種類は主に4つ。

①回路に流れる電流

…スター結線。難易度が低く、回答も固定されている。近年よく出題される。

②線間電圧

…スター結線。応用問題が出題されることもある。

③全消費電力

…デルタ結線。合成インピーダンスがある場合は注意。

④断線

…スター結線もしくはデルタ結線が断線し、単線回路になった場合。

複雑なように見えますが出題は3パターンに固定されていて、それぞれ解法をマスターすれば迷わず解くことができます。

①三相3線式回路に流れる電流

スター結線の三相3線式回路が出題されます。

スター結線の場合は相電流は線間電流と等しく、相電圧は線間電圧に√3で割った値になります。

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

イ.8.3
ロ.11.6
ハ.14.3
ニ.20.0

まず、この回路はY字のスター結線なので、相電圧[V]=線間電圧[V]÷√3の計算が必要になりそうだなと頭に浮かべておきましょう。

電流I[A]=電圧E[V]/抵抗R[Ω]より、相電圧[V]を抵抗10Ωで割ることで回路に流れる電流[A](線間電流のことで、スター結線の場合は相電流と同じ)を求めることができます。

相電圧は線間電圧200[V]÷√3になります。

200÷√3÷10≒11.6[A]

三相3線式回路に流れる電流I[A]=線間電圧[V]÷√3÷抵抗[Ω]

②線間電圧

スター結線の三相3線式回路が出題されます。

スター結線の場合は相電流は線間電流と等しく、相電圧は線間電圧に√3で割った値になります。

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に20Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。

イ. 120
ロ. 173
ハ. 208
ニ. 240

考え方としては抵抗[Ω]に流れる相電圧[V]を計算し、相電圧[V]に√3を掛けることで線間電圧E[V]を求めます。

電圧E[V]=電流I[A]×抵抗R[Ω]より、

20×6=120[V]

線間電圧E[V]=相電圧[V]×√3より、

120×√3

208[V]

線間電圧E[V]=電流I[A]×抵抗R[Ω]×√3

③全消費電力

デルタ結線の三相3線式回路が出題されます。

デルタ結線の場合は相電圧は線間電圧と等しいですが、相電流は線間電流に√3で割った値になります。

図のような三相3線式回路の全消費電力[kW]は。

イ.2.4
ロ.4.8
ハ.9.6
ニ.19.2

全消費電力[kW]は、合成インピーダンスから相電流[A]と相電圧[V]を計算して一相回路の消費電力を求め、三相なので最後に3倍することで導き出せます。

1相の合成インピーダンスを求めます。

√(6²+8²)=√100=10Ω

この三相3線式回路はデルタ結線なので、相電圧[V]には線間電圧[V]と同様に200Vになります。

さらに、電流I[A]=電圧E[V]/抵抗R[Ω]

200÷10×200=20[A]

また、力率の計算をする必要があります。

cosθ=8/10=0.8

消費電力[W]=電流I[A]×電圧E[V]かつ、力率0.8より、

200×20×0.8=3200[W]

冒頭に説明したように、三相なので3を掛けます。

3200×3=9600[W]

1kW=1000Wなので、

9.6[kW]

復習しよう⇒【一般問題】リアクタンスと力率

全消費電力[kW](インピーダンスあり)=電圧E[V]÷抵抗R(インピーダンス)[Ω]×電圧E[V](×力率)÷1000

④断線

【一般問題】断線でも解説していますが、スター結線もしくはデルタ結線が断線して単線回路になった場合の状況について問われる問題が、ごくたまに出題されます。

図のような電源電圧 E[V]の三相3線式回路で,図中の×印点で断線した場合,断線後のa-c 間の抵抗 R[Ω]に流れる電流 I[A]を示す式は。

これはデルタ結線の三相3線式回路です。

しかし、×印点で断線したことで単線回路になりました。

相電圧の際の√3を考える必要が無くなったため、電流は普通に線間電圧÷抵抗の式で計算することができます。

演習問題

2023年下期午前

図のような電源電圧 E[V]の三相3線式回路で,図中の×印点で断線した場合,断線後のa-c 間の抵抗 R[Ω]に流れる電流 I[A]を示す式は。

これはデルタ結線の三相3線式回路です。

しかし、×印点で断線したことで単線回路になりました。

√3を考える必要が無くなって、電流は普通に電圧÷抵抗の式で計算することができます。

正解は

2023年下期午後

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に20Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。

イ. 120
ロ. 173
ハ. 208
ニ. 240

Y字のスター結線をみたら、√3を頭に思い浮かべましょう。

電圧E=電流I×抵抗Rの公式に√3をかけると、

20×6×√3
≒208

正解は

2023年上期午前

図のような三相3線式回路の全消費電力[kW]は。

イ.2.4
ロ.4.8
ハ.9.6
ニ.19.2

問われている三相3線式回路の全消費電力[kW]は、インピーダンスから電流と電圧を計算して一相あたりの消費電力を求め、三相だから最後に3倍することで導き出せます

まずは1相のインピーダンスZを求めます。

Z=√(6²+8²)=√100=10Ω

次に、回路に流れる相電流を求めます。

200V÷10Ω=20A

これで電圧×電流で電力が計算できそうだけど、抵抗8Ωの力率を絡めて計算することが重要。

cosθ=8/10=0.8

一相あたりの消費電力は、

200V×20A×0.8=3,200W

三相分なので3倍し、さらにkWに換算するために1,000で割ると、

3,200×3÷1,000=9.6[kW] 正解は

2023年上期午後

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

イ.8.3
ロ.11.6
ハ.14.3
ニ.20.0

Y字のスター結線をみたら√3を頭に思い浮かべましょう。

求める必要のある相電圧を、電圧E÷√3で計算します。

また、電流I=電圧E÷抵抗Rなので、さらに抵抗10Ωで割ると、

200÷√3÷10

≒11.6

正解は

2022年下期午前

図のような電源電圧 E[V]の三相3線式回路で,図中の✕印点で断線した場合,断線後のa-c 間の抵抗 R[Ω]に流れる電流 I[A]を示す式は。

これはデルタ結線の三相3線式回路。

しかし、電線が1つ断線したことで単線回路になったんだ。

ということは、√3を考える必要が無くなって、電流は普通に電圧÷抵抗の式で計算することができる。

正解は

2022年下期午後

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

イ.8.3
ロ.11.6
ハ.14.3
ニ.20

Y字のスター結線をみたら√3を頭に思い浮かべよう。

求める必要のある相電圧は、電圧E÷√3で計算できる。

また、電流I=電圧E÷抵抗Rなので

200÷10÷√3

≒11.6

正解は

2022年上期午前

図のような三相3線式回路の全消費電力[kW]は。

 イ . 2.4
 ロ . 4.8
 ハ . 7.2
 ニ . 9.6

デルタ結線の問題は解答がほぼ2つに決まっているから、ある意味、暗記で答えが出てしまう問題でもある。

今回は丁寧に解説していくよ。

問われている三相3線式回路の全消費電力[kW]は、インピーダンスから電流と電圧を計算して一相あたりの消費電力を求め、三相だから最後に3倍することで導き出せる

まずは1相のインピーダンスZを求めよう。

Z=√(6²+8²)=√100=10Ω

次に、回路に流れる相電流を求める。

200V÷10Ω=20A

これで電圧×電流で電力が計算できそうだけど、抵抗6Ωの力率を絡めて計算することが重要。

cosθ=6/10=0.6

一相あたりの消費電力は、

200V×20A×0.6=2,400W

三相分なので3倍し、さらにkWに換算するために1,000で割ると、

2,400×3÷1,000=7.2[kW]

正解は

2022年上期午後

図のような三相 3 線式回路の全消費電力[kW]は。

 イ . 2.4
 ロ . 4.8
 ハ . 9.6
 ニ . 19.2

デルタ結線の問題は解答がほぼ2つに決まっているから、ある意味、暗記で答えが出てしまう問題でもある。

今回は丁寧に解説していくよ。

問われている三相3線式回路の全消費電力[kW]は、インピーダンスから電流と電圧を計算して一相あたりの消費電力を求め、三相だから最後に3倍することで導き出せる

まずは1相のインピーダンスZを求めよう。

Z=√(6²+8²)=√100=10Ω

次に、回路に流れる相電流を求める。

200V÷10Ω=20A

これで電圧×電流で電力が計算できそうだけど、抵抗8Ωの力率を絡めて計算することが重要。

cosθ=8/10=0.8

一相あたりの消費電力は、

200V×20A×0.8=3,200W

三相分なので3倍し、さらにkWに換算するために1,000で割ると、

3,200×3÷1,000=9.6[kW]

正解は

2021年下期午前

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に20Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。

   イ . 120
   ロ . 173
   ハ . 208
   ニ . 240

Y字のスター結線をみたら、√3を頭に思い浮かべよう。

電圧E=電流I×抵抗Rの公式に√3をかけると、
20×6×√3
≒208

正解は

2021年下期午後

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

   イ . 8.3
   ロ . 11.6
   ハ . 14.3
   ニ . 20.0

Y字のスター結線をみたら、√3を頭に思い浮かべよう。

求める必要のある相電圧は、電圧E÷√3で計算できる。

また、電流I=電圧E÷抵抗Rなので
200÷10÷√3
≒11.6
正解は

2021年上期午前

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき、各線に20Aの電流が流れた。線間電圧E[V]は。

   イ . 120
   ロ . 173
   ハ . 208
   ニ . 240

Y字のスター結線をみたら、√3を頭に思い浮かべよう。

電圧E=電流I×抵抗Rの公式に√3をかけると、
20×6×√3
≒208

正解は

2021年上期午前

図のような三相3線式200Vの回路で、c-o間の抵抗が断線した。断線前と断線後のa-o間の電圧Vの値[V]の組合わせとして、正しいものは。

イ. 断線前116 断線後116
ロ. 断線前116 断線後100
ハ. 断線前100 断線後116
ニ. 断線前100 断線後100

断線前のスター結線三相交流回路の線間電圧は200V。これを√3で割ることで相電圧は計算できます。

200÷√3≒116V

一方、断線後はa-oとb-oが線間電圧200Vを等分します。

200÷2=100V

スター結線の三相交流回路の電線を見たら、断線前は116V、断線後は100Vと暗記しましょう。

正解は

2021年上期午後

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

イ. 2.9
ロ. 5.0
ハ. 5.8
ニ. 10.0

図はスター結線(Y結線・星型結線)した三相3線式回路なので、瞬時に√3を頭に思い浮かべよう。
まず、抵抗に流れる電流を求める。
200×√3=346V
この図の抵抗は20Ωが3つなので60Ω。
電流=電圧÷抵抗なので、
346÷60≒5.8
正解は

2020年下期午後

図のような三相負荷に三相交流電圧を加えたとき,各線に 15 A の電流が流れた。線間電圧 E [V] は。

イ. 150
ロ. 212
ハ. 260
ニ. 300

電圧は抵抗×電流で求められるんだけど、この問題は三相負荷で10Ωが3つあるのがわかりにくい。
この抵抗は√3×10
よって答えは
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